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zoom RSS 【書評】図録・評伝 安重根

<<   作成日時 : 2014/03/06 23:38   >>

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図録・評伝 安重根
日本評論社

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 隣国との関係改善を望む/望まないは、人それぞれの考えとして、相手の考え方というものは知っておいて損にはなりません。編集の「統一日報社」というのは朝鮮半島と在日コリアンのニュースを提供するメディアとのこと。全くもって、現在もまだ図書館で特定人種に関わる書籍を毀損している排外主義者がいるとしたら、真っ先に標的になりそうな本なのですが、大丈夫、大阪府立図書館の蔵書は今のところ私の保護下にあります。

 さてこの書は二部構成となっていて、朝鮮においては英雄とされる安重根について、その生立ちや足跡を写真や図表を交えて記した「第一部 図録」と、史家や宣教師の評論、そして安重根本人による自伝も含めた「第二部 評伝」とに別れています。安重根による伊藤博文暗殺のあらましとその後の顛末は「図録」でわかるのですが、それを読みながら思ったのは「当時の日本人、どれだけ我慢強いんだ」ということ。
 伊藤博文はロシアの財務大臣とハルビン駅で対面しているときに、安重根に撃たれたのです。狙いが外れてロシア側に当たっていたら、ロシアの憲兵に捕らえられたまま、消息を絶っていたことでしょう。とりあえずロシア側に負傷者はいなかったので、安重根の身柄は日本領事に引き渡され、旅順に収監されたのです。その際に取られた調書も残っていますし、裁判の記録も残っています。六回の公判を行ない死刑判決が出たのは事件から四ヶ月後、執行はそこから六週間後です。安重根の後詰め役をしていた同志は、一年から三年程度の懲役で済んでいます。その裏で安重根やこの著者によると「日本兵は朝鮮半島で2000万人の無辜の民に暴虐の限りを尽くしていた」というのですから、大変な二面性です。

 そして第二部「評伝」。同時代の歴史家とされる朴殷植の「安重根伝」では、伊藤博文による韓国支配の実態が暴かれます。伊藤博文は1000万円の資金を調達し、官庁の修理や水道の設置、道路の測量や関係労働者の賃金に充てて「私腹を肥やした」というのです。ああ、そりゃあ恨まれても仕方ないですね。
 つづいて安重根本人による「安応七歴史」(応七は安重根のあざな)。東学党の反乱軍2万を相手に、70人で立ち向かい勝利した豪傑・安重根は、同志と花柳の巷に遊んでは、酒場の女を金でなびくあばずれと説教し、女が不満を見せると殴りつけます。伊藤博文が総督として韓国に入ってからは、300人の義兵を率いて日本兵と激闘を繰り広げるも武運つたなく、ウラジオストックに逃れ、そしてハルビンでの義挙におよぶのです。ちなみに同じく獄中で書いた「東洋平和論」では、日本、清国、韓国が同盟し、アジアの平和を守るという先進的な構想が語られています。
 ちなみに、この「安応七歴史」および「東洋平和論」は、1970年代になって日本で「発見された」とのことで、さらに先の朴殷植「安重根伝」も、1991年に黒竜江省で「発見された」とのことです。安重根が望んでいたアジアの平和、日本が清国に領土を返還し、韓国の国権を認めて共同体を作る…それほど昔でない時期に、どこかで聞いたような内容です。
 こうなってくると、ドイツ人宣教師ウェーバー神父が、李氏朝鮮の腐敗っぷりや当時の風習を記した「安重根の故郷・清渓洞」が浮いて見えます。「朝鮮では泥棒や山賊が現れた村はどこでも疎んじられた。その代わり、そうした村では郷吏たちが入って金品や家畜を奪っていくこともしばしばあった」とか、この書に掲載しちゃってよかったの? と思ってしまいました。

 ともかく書店の平棚にならんでいる薄っぺらい嫌韓・反中本とは濃度が違いますので、ぜひとも読み継がれていって欲しいものです。ほどなく図書館に返却しますので、あとは利用者の良心と図書館の防犯体制にゆだねたいと思います。

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